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祈る人
祈る人よ。
あなたはもう忘れてしまったのか。
私たちがやってきた道を。
ここへとつづく道のことを。
連なる尾根と人々の悲しみを越えて、はるか旅してきた道のりを。
いま、あなたはなにを祈るのか。
あなたは知っている、自分が無力であることを。
あなたはなに不自由なく日々の糧を得、だれからも強制されることなく好きな場所に行き、さまたげられない眠りについている。だからといってそれを人に分け与えることはできないし、まして見も知らぬ他国の人々の境遇を変える力などあなたにはない。
世界は紛争と災害と貧困でおおわれている。あなたには関係のないところで銃弾が飛び交い、地雷が破裂している。あなたには関係のないところで子どもが飢え、疫病が蔓延している。あなたには関係のないところで、血が流れ、人が転落し、暴力がふるわれている。それをあなたはどうすることもできない。
あなたにできるのは、ただそれらに思いをはせるだけ。
あなたにできるのは、祈ることだけ。
あなたにできるのは、それらに思いをはせながら祈ることだけ。